音と香りとピアノ

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ラヴェルの誕生日に過去のピアノ録音を紹介!鏡「悲しい鳥たち」夜のガスパール「オンディーヌ」

ラヴェル

作曲をしたモーリス・ラヴェル(1875~1937)はパリ音楽院でフォーレに師事したフランスの作曲家。 ドビュッシーと並んで印象主義の代表の作曲家のように言われますが、古典的で理知的な形式観も持ち少しドビュッシーとは異なる面もあります。

 

「鏡」ラヴェルが30歳の時の1904年から1905年にかけて作曲された作品で、5つの曲からなるピアノのための組曲

第1曲 Noctuelles (蛾)~詩人レオン=ポール・ファルグに献呈

第2曲 Oiseaux tristes (悲しい鳥)~リカルド・ヴィーニェスに献呈(鏡の初演者)

第3曲 Une barque sur l'ocean (海原の小舟)~画家ポール・ソルドに献呈

第4曲 Alborada del gracioso(道化師の朝の歌)~批評家M.D.カルヴォコレッシに献呈

第5曲 La vallee des cloches (鐘の谷)~作曲家モーリス・ドラージュに献呈(ラヴェルの弟子)

 

この「鏡」という意味は、鏡が物を写すようにラヴェルの心をリアルに音で写し出そうとしたのではないかと言われています。 

 

 ラヴェル「鏡」 2. 悲しい鳥たち を弾いてみました


「鏡」悲しい鳥たち  ラヴェル / Miroirs "Oiseaux tristes"

作曲者のラヴェル曰く、この曲で表現されている鳥は「夏の、とりわけ暑い日に、暑さで眩み迷い子になった鳥たちの姿。真夏の光も届かない、ほの暗い森の中で動けなくなった鳥たちは、ひっそりと息絶えます。」だそうです。

 

 

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 この曲の雰囲気がすごく好きです。ただ弾くといつもうう~~んってなりながら、ずっと放置していた曲です。この怠さ加減がなんとも表現しにくい。

最初の シ♭~シ♭ どこかで鳥が鳴いている。そして次の速いパッセージ。

一音一音しっかり鳴らす!というよりも、1つに聞こえるように?

鳥がピピッピって感じかなと、これがばらけて本当に最後まで苦労しました。

ソ♭ー…シ♭ッミ♭ラ♭ーって思おうかなとか。。

一瞬力んでしまうものを緩めると回りやすい気がしました。

 

 

 

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次に

レーシ♭ー…ソ♭ラ♭ーソ♭ラ♭ーが、なんとも新しく入りました!待ってました!感がおかしくて…(−_−;)ソ♭って思うより、ラ♭のほう、

ソ♭ラ♭ァー、ソラ♭ァーって後ろの方で揺れを作っていくと、流れがスムーズな気がしました。

きっと森の中の風で揺れる葉なのかなとか想像したり。

鬱蒼とした雰囲気を醸し出す大事な要素なのかもって。

だとしたらインテンポはおかしい?けど、迫っていくのもどうなのかと・・・考えたり。

 

 

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ここの部分が謎でした。テンポ一定で流れる感じが綺麗なのかなと思いながらも少し前進もうとしている感じになりました。メロディー的にも、いろんな響きが入り混じって不安定な響き。

ただ、鳥の鳴き声 ラ♯ーラ#は別物で埋もれないことを気をつけていました。

 

 

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2回、和音をつかむ部分があって、けっこうここが怖かった。

鳥が何かを察知した感じでしょうか・・。他の鳥たちへの合図??

そしてミミミミッ~!って、それこそ飛び立つ合図のようなイメージかな。

木にとまっていた何匹もの鳥たちが、一斉にワッ!と飛び立つ感じ?

 

 

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その後に羽をバサバサッしながら羽ばたきながら舞い上がって降りてくる部分。

不協和音的な部分ですが、ここの右手の当て具合が難しかったです。今でも苦手・・・(^◇^;)

 

 

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後半の部分。ここが好き!( ̄∇ ̄)今までの怠さ~や鋭い爪をたてる様な音とは違って、少し柔らかい音のイメージがありました。特に上へ上へと上がっていく部分。そして頂点まで登り上がったところで、ほどけていく様子。ここがたまらない・・・。なんとも解放感に満たされる気持ちになります。鳥たちも、もう何にも縛られず・・・そして楽に息耐えたのでしょうか・・・。

 

 【夜のガスパール水の精を弾いてみました

ラヴェルの『夜のガスパール』は、1908年に作曲され、1909年1月9日に初演された。作曲当初、ラヴェルが意識していたのは、難曲として知られるバラキレフの東洋的幻想曲「イスラメイ」で、これよりも難しいピアノ曲を書くと宣言し、実行に移しました。  副題に「アロイジウス・ベルトランの散文詩によるピアノのための3つの詩」とあるように、インスピレーションの源になったのは、貧困と病のために34歳の若さで亡くなった詩人ベルトランによる同名の詩集である。ボードレールにも影響を与えたこの作品の中から、ラヴェルは「オンディーヌ」、「絞首台」、「スカルボ」の3篇を選び、独自の音楽語法を用いて、怪異な幻想世界を紡ぎ出しました。 水の精オンディーヌが人間の男に恋をし、求婚をするも断られ涙を流して消えてゆく・・・といったなんとも不思議な世界に巻き込まれてしまうような曲です。 

 


Gaspard de le nuit "Ondine"夜のガスパール「水の精」

(原詩)

「オンディーヌ」

聞いてください!聞いてください!私です、オンディーヌです。淡い月の光に照らされた響くような菱形の窓に、しずくとなって軽く触れているのは。波の衣装をまとって、星のまたたく美しい夜と、眠りについている美しい湖を露台から見つめている水のお城のお姫さまです。

どの波も流れを泳ぐ水の精、どの流れも私のお城へうねってやってくる小径、そして私のお城は、湖の底、火と大地と空気の織りなす三角形の中に、流れるごとく建てられています。

聞いてください!聞いてください!私の父は、緑のはんの木の小枝で立ち騒ぐ水を打ち静め、姉たちは泡の手で、草が茂り睡蓮やグラジオラスの咲く清々しい小島を愛撫したり、釣り糸をたらしている老いて髭のはえた柳をからかったりしています!

水の精はささやく声で歌いながら、私に哀願するようにいった。彼女の指輪を私の指に受けて、オンディーヌの夫となって、湖の王としてともにその宮殿を訪れようと。

だが、私は、やがて死ぬ運命にある人間の女のほうが好きだと答えると、機嫌をそこねた恨みを胸に、幾しずくかの涙を流したかと思うと、とつじょ甲高い笑い声をあげ、青い窓ガラスに白々と流れる水滴となって消え去った。
 

詩があるけれど、なんともイメージが難しい部分がありますね(^◇^;)

水の妖精って言いながらも、窓ガラスを濡らす雨の中の妖精なのか??

それとも海底に潜む幻想的なお城を持つ水の妖精の世界なのか・・。

私は後者を想像するようにしていましたが・・・。

 

 

 

 

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 綺麗な均一なトレモロは、いうまでもなくずっと課題です。下2音よりもソプラノ側、ソ#ラソ#ソ♯ ラソ#ソ#ラ が浮き立って聞こえるように・・。

難しい~~~~~!!ここは、鍵盤に指を一度落としたら上がってくるまでに2回鳴らす奏法。

その連続で、しかも速いトレモロなので、指は鍵盤にすりついてる感じにして、肩から腕にかけてプルプルプル・・・ってふるわせるイメージで弾いていました。

それでも和音のムラは酷いのですが・・・。

ポゴレリチの演奏なんかはとても丁寧に弾いています。

けど最終的に、このオンディーヌで好きな演奏はアルゲリッチでした。

とっても速い( ̄0 ̄)そしてさら~~っと弾く。けど、音楽がわかりやすい!

メロディーとの対話、物語が出来ている。それよりもアルゲリッチ自身から漂う雰囲気に虜になりました笑 細かい音の綺麗なこと、泣き崩れてくる部分の熱のこめかた・・・

ハアハア(*´Д`*)・・・

 

話戻します・・・(^_^;)

 

 

とにかく、ここの出だし和音トレモロの中で妖精がポーンと現れる様子。

単音のメロディー。これをメロディアスに弾くことが、かなりの神経がいりました。

音の伸びのつなぎっていうんでしょうか・・。

指だけの重さで鍵盤に降りてくる、まさしく妖精!な感じかな。

けど、とても繊細な妖精で、水のトレモロに潰されないように、ポーンポーンと

出てくるのが難しかったです。そう・・右手の和音のムラね。(^◇^;)

 

 

 

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左手が右手よりも上にいき交差しながらも、オクターブ上でメロディーを奏でる部分。

右手の和音がとっても弾きにくいです。( ̄0 ̄) その分、左右どちらも、ボコッと落ちそうになりました。この部分、ヴァイオリン協奏曲のように・・と言われたことがあったんだけど・・果たしてどういうことやら。。

音と音の間の空間を感じること、これを忘れないように感じていました。

たんたんと音を鳴らすじゃなしに、歌うメロディー。

 

 

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ここから細かい音が多くなってきます。それとトレモロ和音だったのが分散して、左右に入り混じってきます。きれいに区別できると本当に綺麗な部分です。運指、左手と右手の分担を考えて。

2段目からのアルペジオ部分。ここからは、音色を変えたいと思いました。

海の中に潜るようなイメージで、流れる音、温かい生ぬるい音。

その為に指は寝かし気味で、メロディー部分は、指で紙をとってくるような感触で鳴らすようにしていました。こうすると指の腹というか伸ばし気味に当てるようになります。

ただ、中に入ってくるアルペジオの動きで現実的に戻らないように気をつけていました。が、ちょっとクレッシェンドで膨らますつもりが、もろにウワァ~~ンと鳴ってしまいました。3回同じ動きだけど、3回目へもってくる。

 

 

 

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ここの部分がとても弾きにくかったです。

刻む形に戻って、しかも和音になりました。これこそ音が逆になりそうで冷や冷やものでした(^_^;) そして、ここの部分は少し何か訴えっているように聞こえました。

前へ前へ、繋がっていく。

 

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またもや、「きいてきいて!」の部分に戻ってきます。

この細かい回転の部分が難しかったです。ちゃんと鳴ることなんて何回あっただろうに・・。特に2段目の半音も入ってきて混じる部分。ここは、ほんとに綺麗なんですよ・・。

 

 

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オンディーヌの語りの続き・・・

今度はオクターブで。ここも同じく、細かい部分をいかに綺麗に鳴らしてこられるか・・。右手の中のGを左手で助けてやって弾いてます。けど、それがまた弾きにくくなるんですが…

 

 

 

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ちょっと前のページが撮るの忘れてしまったけど、、

らーそーふぁーみー らーそーれーれー・・・・・と繋げて鳴らしていくことが難しかったです。右手の小指だったり、左手の2.3の指だったり。

ここでほっとすると、鳴らなかった音が出てきて、(◎-◎;)ドキッ!!とする笑

2回目の2小節、同じように弾いていたけど、アルゲリッチの弾き方聴いて、あぁそうなのね・・っとちょっと納得したり。お手本大事。(--)(__)

 

 

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きました・・・苦手部分・・・(^◇^;)

1回目、2回目はまだ?大丈夫。ただ3回目からがすごいへたくそ(;。;)

最初に入ってくる装飾音から低音にサッともってこれるかがミソなんじゃないかなって。左手、つっこむ音にはならないこと。ppからfまで、伸びている状態でもクレッシェンド。

 

 

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苦労部分その3。

オンディーヌが人間の男に、王になって!と求婚したあと・・・

男は人間じゃない女はムリだ!と失恋・・・・

(T-T) 修羅場???? 笑

左右、音の数が全く違って合わないので、どうしたことか・・・と思っていましたが、

とにかく、繋がる音を大事して、そしてここで合わす!という練習をしていました。

もちろん片手づつテンポをもっての練習も。

ここね、アルゲリッチの演奏すごいんですよ・・←まだ言ってる(^◇^;)

私はまだまだ爆発的なものが足りませぬ。これは殻を破れですね・・・(^_^;)

 

 

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ページが飛びます~~~最後の部分。

オンディーヌが失恋して、泣くも開き直って、アハハ~~と高い声で笑いながらも去る。小悪魔なのでしょうか・・・←(/_・)/

アルペジオの波。上手く鳴らせてこれなかったです。。ごめんなさい。

けど、その前の静寂からブワッ!とオンディーヌの開き直りが好きな部分です。

 

長くなりましたが、今回ラヴェルからようやく夜のガスパールを録音することが出来ました。まだまだ未熟ですが、年が経つにつれすこしでも成長していけるといいなと思っています。

 

 

 オンディーヌの練習日記は、またカテゴリにまとめてみます。